君に会いたくて…。

●第四話「交わしていく思い」○
ごくっ…。
(今日こそ元気な姿でいるお兄ちゃんに会えますように…
そして…/// 遥希も元気であれば何も言うことはない…。)
そう心に言い聞かせながらお見舞いのクッキーを手に
二人の病室・203号室へ向かう夜桜。
「・・・ッ///」今日で5回目…、昨日まで4回連続で寝込んでいたお兄ちゃん…。
今日こそ、笑顔で迎え入れて下さい!!
               コンコンッ
「はい、どうぞ…。」(お兄ちゃんの声だ!)
「お兄ちゃ…!!」期待で高まった少女の目の前には包帯で包み込まれ、
点滴をうってもらっている兄・椿が居た…。想像していた姿とあまりにも
違ったため動揺し、肩に提げていたかごバッグは手の位置までずれていた…。
「…驚いた?ちょっと最近副作用が多くてね…眠くて寝ちゃってたんだ。
 ごめんね…でもお菓子は全部食べたから♪おいしかったよ。」ニコッ…
「…それは良かった…。」(…嘘付いてる…。)
体が弱ってるのと同時に鼻もどうにかなっていたのだろう…
この部屋一帯に甘ったるいにおいが充満していた…きっとゴミ箱の中を
探れば出てくるだろう…やむを得ず捨ててしまったお菓子の残飯が。
「…あれ、遥希君は?」「検査しに行ったきり。」「そう…。」
これは本当らしい…。
「これ…クッキー、どうぞ。」
「ありがとう、でも今さっき昼食食べたばっかりだから
 後でゆっくり遥希と一緒に食べるね。」
「う…ん…。」(また嘘…食べられないはずなのに…。)
もうここにいたくない…無理して笑ってるお兄ちゃん見たくない…
これ以上ここにいたらお兄ちゃんに心配かけちゃう…
「…ぃやっ…」「…夜桜?どうしたの;」「!!」
「何かあったの?辛いことあったら話してね、僕は夜桜の味方だからね。」
「あっ…」(今そんな優しくされると…泣いちゃう…)
「なっ…何でもないよ♪…あっ、もう時間だ!ごめんね;また明日も来るから!!」
「うん…無理はしたら駄目だよ。」「分かってる、お兄ちゃんもね。」
「ん、じゃあね。バイバイ…」「バイバイ。」ガチャッ
「…ッ///」足がすくんで…動かない…。
「…夜桜?」「!…なんだ遥希君か…。」
「なんだって…;お見舞い?ドア開いてると思うけど…。」
「ううん、今帰る所…塾があるから。」「そっか…。」
「お菓子はお兄ちゃんに預けてるから。じゃあね。」
「あぁ…!夜桜!!」「ふえ?」
「いい加減俺の事も呼び捨てにしろよな、気色悪い!!」
「キッ…気色悪いはないでしょ!!遥希-!!」「それでよし。」フフッ
「もぉ…(怒)」「これで少しは明るくなったかな?」ガラッ
「いつも思うけど凄いね、遥希。」「そんなことないッスよ。」
「…好き?」「はぁ!?いっ…いきなり何言い出すんですk((ry」
「夜桜の事思ってるから、あんな事するんじゃないの?」
「違いますよ…ただ俺は…!!」「そっか…じゃあまだ生きていないとね。」
「!?どういうこ((ry」
「僕が居なくなったら夜桜…一人になっちゃうからね、夜桜…一人は嫌いだから。」
「…それと俺とは関係ないじゃないですか。」
「関係あったら良かったなって言う僕の想像。」
「…。」“とても想像とは思えない言い方”遥希はそう思いながらもあえて言わなかった。
言ったら…なんか言われそうだったから…。~続く~